2016年1月9日土曜日

【TSR】 保護シュナ『マーヤ』お預かり日記(12)


TSRの保護っ子『マーヤ』のお預かり開始から、あっという間に約一ヶ月が経過しました。

過ぎてしまえば短く感じる一ヶ月間でしたが、その短い期間でマーヤは我が家での新しい生活にもすっかり慣れてくれました。
エマを含めた僕たち家族も、この一ヶ月間でマーヤがどんなシュナなのかをほんの少しだけど理解してあげることができたように感じています。


年末年始のバタバタとした時期の預かり開始でしたが、みんなが穏やかで楽しく過ごすことができた一ヶ月となりました。
保護っ子にとっては、穏やかに過ごすことができる環境は何よりも大切なものです。

この一ヶ月間、預かり日記を読んでくださっている方々から、マーヤへの応援メッセージ、ご支援、里親募集のお問合せをたくさん頂きました。
現時点ではまだ里親募集準備中であるにも拘らず、これだけたくさんの方々に見守られている今のマーヤは、とても幸せな保護っ子だと思います。
そして、近い未来に、マーヤの元には大いなる福音が必ず届くはずです。

この預かり日記では、預かり中のマーヤの生活の様子をできるだけ詳細にお伝えしていこうと思っています。
どうしてもかわいいマーヤにフォーカスを当てた記事が多くなってしまうのですが、今回の記事では、現在のマーヤはどんな状態なのか、どんなケアをしているのか、里親募集準備期間が長いのはなぜか…という部分にフォーカスを当ててみました。
マーヤの里親に…と考えてくださっている方には、是非この記事を最後まで読んでいただきたいと思っています。

犬は生き物なので、かわいいだけでは済まない事がたくさんあります。
そして、マーヤのように収容施設から引き取られた保護っ子達には、多かれ少なかれ何かしらの問題があります。
ただ、その問題は犬自身が作り出したものではなく我々人間が作り出しているということを忘れてはいけない…そして、そのケアをできるのも人間だけ…いつもいつもそんなことを考えながら、僕は犬たちと接するように心掛けています。
今回の記事は、そんな気持ちを込めての更新です。


マーヤは保健所に収容さていた子ですが、体の状態や遺棄の状況から考えると、一般家庭でペットとして飼われていたシュナではなく、繁殖屋が捨てたシュナではないかと思われます。
繁殖屋に遺棄される多くの犬たちと同じように、マーヤは室内に設置されたトイレシーツでの排泄ができない子でした。
トイレトレーニングをしてもらっていないために、トイレシーツやトイレトレイを見ても、それを排泄場所であるという認識ができないのです。
そして、多くの犬は排泄の直前に地面のにおい嗅ぎやその場での回転などの行動を取るのですが、マーヤにはそれがなく、いきなりその場にしゃがみこんでおしっこやうんちをします。
なので、排泄直前のトイレへの誘導は、非常に難しいものとなります。
室内では一日一回しかおしっこをしないこともあるので、トイレトレーニングの機会も少なく、なかなかトイレでの排泄を覚えてもらうことができませんでした。
そんな訳で、この一ヶ月間はマーヤの行動範囲を狭めて、その中に複数のトイレを作って…という方法で、シートの上で排泄することを覚えてもらいました。


上の画像でトレイなしでトイレシートだけ敷いてある部分は、マーヤが二度ほど排泄の失敗をした場所です。
何度か排泄失敗をする場所があるのなら、とりあえずそこをトイレにしてしまいます。
用意したシートの上で確実に排泄ができるようになったら、トイレを減らしていって、行動範囲を広げていく…室内脚上げマーキングをしない子であれば、こんな方法でトイレでの排泄を教えることができます。
今のマーヤは、自分からトイレトレイに行って、うんちとおしっこができるようになっています。
ただ、初めて入った部屋では、もしかすると一からこの練習をする必要があるかも…です。
人も犬も同じですが、できるはずの行動も場所が変わるとできなくなるものなのです。

フィジカルの面でも、マーヤにはいくつかの問題があります。

これはマーヤの画像を初めて見たときからTSRメンバー全員が心配していたことなのですが、マーヤの胸の辺りには大きめな膨らみがあります。


預かり直後の検査で、これは悪性の腫瘍ではなく脂肪の塊ということが判明、とりあえず大きな心配は消えました。
ただ、マーヤはこの脂肪の膨らみが気になるようで、後ろ足でこの部分を執拗に掻いています。
保護されてから体調が少しずつ上向いてきているので、脂肪を掻く動作は徐々に減りつつありますが、完全にその行動が消えたわけではありません。
できれば、ウチでマーヤをお預かりしている間に、この脂肪を切除する手術を受けさせたいと思っています。
上の画像を見るとお判りになると思いますが、脂肪の周囲を掻いたり噛んだりするために、その部分の毛が抜けてしまっています。
抜け落ちてしまった被毛を再生するためには、皮膚の健康を取り戻すことと、マーヤにとって気になる脂肪の切除が必要になるのではないかと考えています。

前述のとおり、マーヤは繁殖屋に遺棄されたシュナで、保護されるまでの間に何度か子犬を産まされています。
そのため、マーヤの乳首は伸びてしまっていて、腹部の皮膚は垂れ下がっています。


今は散歩や遊びで毎日しっかり動いているので、体もだいぶ締まってきました。
腹部の弛みも、一ヶ月前に比べたらかなりすっきりしてきています。
ただ、この弛み、自然に任せたままで完全に元に戻るような雰囲気ではありません。
この腹部を見ると、マーヤは何度も何度も繁殖に使われたということがよくわかります。
上の左側の画像は脂肪による膨らみの下の部分になりますが、ここも後ろ足で掻いてしまうために毛が抜けてしまっています。
預かり開始当初よりも肌の状態が戻ってきているので、この部分にも少しずつ質の良い毛が生えてくるようになっています。
今はできるだけマーヤがこの部分を掻くことがないように、必要なケアを日々行っています。
マーヤはおとなしく留守番することができる犬ですが、ひとりになると体のどこかを掻いたり噛んだりしてしまうので、今はできるだけ留守番はさせないようにしています。
きれいで健康な皮膚と被毛を取り戻すまでの辛抱…マーヤには頑張ってもらっています。

それと、マーヤの両後ろ脚のスネの部分、同じ位置に同じような傷があります。


この傷についてトレーナー仲間に聞いたところ、「たぶん狭いところに長時間閉じ込められていて、ずっと同じ姿勢を取ってなければならなかったせいでできた傷」だと教えてくれました。
立った状態のマーヤを前方から見るとよくわかるのですが、マーヤの脚の形はO脚内股になっています。
これもきっと、立てないくらい狭いところに長期間閉じ込められていたために、そのような脚の形になったのだと思われます。
そのせいか、ウチで預かりを始めてた頃の散歩では脚の運びがとても不自然で、特に下半身が弱っているように見えました。
今は毎日の散歩と足腰を鍛える運動の成果で、きびきびとしっかり歩けるようになって、曲がっていた脚も少し伸びたように感じます。
定期的な散歩や運動、やはり犬にとっては欠かせない必要不可欠なものです。
それ以前に、まったく身動きが取れないような狭い場所に犬を長期間閉じ込めるなんて論外です。

マーヤはとてもおとなしくて攻撃性のまったくないシュナですが、下半身に急に何かが触れるとそこに向けて歯を当てるという行動がありました。
これはたぶん、繁殖屋のところにいるときに、マーヤが自分の身を守るために学習した行動だと思われます。
交尾の際に無理に押さえつけられたとか、事ある毎に棒で叩かれたとか…そういった経験をマーヤはしているのだと思います。
これからはもうマーヤがそんな目に遭うことは絶対にないので、『人の手や何かが下半身に触れても嫌なことは起きない』ということを、マーヤにはトレーニングで学んでもらいました。
年明け直後まではごく稀にそのような行動がありましたが、今はまったくしなくなっているので、二度と同じような怖い思いさえさせなければ、きっとこの行動は消去されるはずです。

マーヤはとても性格の良いシュナです。
いつもマイペースで、吠えることもなく、噛むこともなく、人や犬を怖がることもなく…今までトレーニングでたくさんのシュナ達に会ってきましたが、マーヤはなかなかお目にかかれないタイプのシュナです。
きっとどんなご家庭に家族として迎えられても、問題なく生活していくことができると思います。


体重5キロの小さなマーヤは、ここまでの犬生を苛酷な環境の中で大変な思いをしながら生きてきました。
そのせいで、健康を害してしまい、小さいながらもトラウマを抱えることになってしまいました。
マーヤは今、家庭犬としての生活を始めて、少しずつ体と心の健康を取り戻しつつあります。
このままもうしばらくウチで預かりながらケアを続けて、心身共に万全の準備が整ったところで里親さんの募集を開始させてもらいたいと僕は考えています。
そんなこともあって、マーヤの里親さん募集開始までもう少しお時間を頂くことになるかと思います。
何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。

マーヤの皮膚と被毛は本当にひどい状態でしたが、少しずつ良くなってきています。
良くはなってきていますが、そのケアは終わりがないかもしれません。
もしかすると、里親さんに迎えてもらった後も、マーヤのための食事や肌のケア、被毛の手入れなどは、健康な子に比べたら手間や費用がかかるようなことになってしまうかもしれません。
できることなら、そんなマーヤのすべてを気に入って受け入れてくれるご家庭に家族として迎えてもらえれば…と、そんなことを考えながら毎日マーヤとその日が来ることを待っています。
一歩にはたくさんトレーニングを頑張ってもらったのですが、マーヤには基礎トレーニングよりも何よりも、まずは家庭犬としてのんびり過ごすことを体で覚えてもらいたいと考えています。
とは言っても、オスワリ・フセ・マテ・アイコンタクト・呼び戻しは、既にマスターしているのです。
すぐに覚えれくれました。
マーヤもとても賢い子なのです。

そんなマーヤ、これから避妊手術を受けてきます。
幸せに向けて、一歩前進です。
手術によって、健康面で何か良い副次効果が出るといいな…なんて希望も持ちつつ、マーヤを病院へ送り届けました。

『マーヤ、手術頑張ってきます!』

J.Takagi



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