2014年8月22日金曜日

リードを使って犬に伝えられること


「リードは短く! 張らないように持って!」

パピースクールに通っていた頃、ヒールウォーク(脚側歩行)のトレーニングをしているときに何度も何度も何度も何度もトレーナーさんに言われた言葉です。
犬を飼う前には「ヒールウォークなんてたぶん簡単にできる」と考えていたのですが、エマを飼い始めた頃は全くできずに本当に苦労しました。

この「リードは短く張らないように持つ」という言葉、トレーナーさんは、
・リードを引っ張って犬をコントロールしない
・犬にリードを引っ張る行動をさせないように自分に注目させる
という意味で僕に一生懸命伝えてくれていました。
今ならよーくわかります。なぜそうしなければいけないのか?ということが…

でも、当時の僕は「リードは短く」というトレーナーさんの言葉だけが強く耳に残ったんでしょうね。
だから、こんなリードを買って使っていました。


今思えば、これは失敗でした。
「製品が悪い」ということではありません。
短すぎたのです…

トレーナーさんの「リードは短く」という言葉だけを気にしすぎたために、長さ75センチというToo Shortなリードを買ってしまったのです。

エマに装着すると…


こんな感じで…
エマがちょっと下を向けばリードが張るし、散歩中に犬とすれ違うとそっちに行こうとして張るし、リード付けたまま一緒に走ろうとするとエマのほうが足が速いから張るし…
とまぁ、当然といえば当然ですが、とにかくすぐに張ってしまうのです。
バッファなさすぎ…

いくらリードが短くてもそれが張ってしまっては何の意味もなく本末転倒…これじゃいかん…ということで、その後、リードを買い直しました。


このリードは2メートルの長さがあります。

なので、多少エマが先に行ってしまったり下を向いたりしてしまっても、リードが張ることはありません。
このように、散歩中にフリータイムを与えてエマをフラフラと自由に歩かせても、リードは張りません。


車輌の通行が多い危険な場所等で、犬を絶対に自分の側から離れさせたくない時には、2メートルのリードを半分の長さにして使うこともできます。
このようにリードを短く持てば、犬がふらふらっ…と先行してしまう事もないので安心です。


最初から長めのリードを買って、こうして短く持って使えばよかったのに…何であんなに短いリードを買ってしまったのか…
一番大切なことは、短いリードを使うことではなく、リードを張らないように散歩させることだったのに…
馬鹿ですね(笑)


では、そもそも…なぜリードが張ってはいけないのでしょうか?

リードが張っているということは、犬か人間のどちらかがリードを引っ張っている状態にあるということになります。
どちらが引っ張っているにしても、間違いなく犬の首が絞まることになります。
首が絞まると、犬の興奮は高まります。
締まれば締まるほど犬の興奮度は増して、人間がコントロールできない状態になります。
この習慣を重ねた結果、カラーを装着しただけで興奮が治まらなくなってしまう犬もいるそうです。
この現象は、タイトリード症候群と呼ばれています。
どんどんどんどん先に行きたくて興奮しながらリードを引っ張りながら進む犬、他の犬に吠えながらリードを引っ張って向っていく犬、そういった行動をしながら散歩をしている犬を見かけますが、どちらの犬もタイトリード症候群、若しくはその予備軍と言えるのではないかと思います。

犬がリードを引っ張って興奮状態に陥ったとき、リードを使って犬を自分のほうに引き戻そうとする飼い主さんは少なくないのではないかと思います。
しかし、自分が向っている方向と逆の方向に向って引っ張る力を加えられると、犬は倒れまいとバランスを取ろうとして更に引っ張ります。
これは抵抗反応と呼ばれる現象で、どの犬も体を引っ張られたり押されたりすると必ずこの反応を示します。

これらの話をまとめると…

1.犬が引っ張る
2.犬の首が絞まる
3.犬が興奮する
4.飼い主がリードを使って自分のほうに引っ張る
5.犬が倒れないようにバランスを取ろうとして引っ張り返す(抵抗反応の発生)
6.犬が更に興奮する
※1~6を繰り返し…引っ張る力と犬の興奮度はパワーアップ
7.犬がタイトリード症候群に陥ってしまう

ということになります。

怖いですよね。
ちょっとしたリードの引っ張りっこから始まったことが、それを繰り返して習慣になってしまうことよって興奮の治まらない犬へと変えていってしまうのです。
一度タイトリード症候群に陥ってしまった犬を元の状態に戻すことは、とても大変です。
そのトレーニングには多くの時間と飼い主さんの根気が必要になります。
なので、お散歩デビューした日から、できればその前に室内でヒールウォーク(脚側歩行)の練習を十分に重ねる必要があるのです。

最初は犬が好きなおやつやおもちゃを使ってでも良いので、犬を自分に注目させて自分から離れないように歩く練習から始めると良いと思います。
小型犬の場合、腰が痛くなる練習ですが、それでもタイトリード症候群になってからそれの矯正トレーニングをするよりも楽なトレーニングだと思います。

何事も毎日の習慣付け、これに尽きます。


ここから先は、少し非論理的な話をします(笑)

日本での犬の散歩はカラーとリードの装着が義務付けられています。
欧州のようにこれを使わないで街中を散歩できたらいいな…と、正直そう思うこともあります。
でも、リードを装着しているからこそできる事もあると思っています。
「飼い主さんと犬とリードで繋がる」ことは、人間同士の行動に置き換えると「手と手を繋ぐ」ことだと僕は考えています。


飼い主さんと犬と実際に繋いでいるのはリードなので、体は直接触れ合っていません。
でも、飼い主の気持ちはこのリードを通じて犬に伝えられると僕は思っています。

「車が来るからシットステイしていて」
「前から犬が歩いてきたけど、ワンちゃん苦手そうな子っぽいから無視して」

そんな飼い主の思いをリード伝いで伝えることができると思っています。
いや、できます!
最初はチェック(強くリードを引くのではなくて、チョンチョンとリードを引いて犬に合図を送って気付かせること)をチェックを使って気持ちを伝えて、それができるようになったら声を掛けて気持ちを伝えて…それもできるようになったら、リードを通して犬に「気」を送って…
そこまでできるようになると、「犬もリードを通して自分の気持ちを伝えようとしてきていること」がわかるようになると思います。

怪しいですか?
怪しい話ですよね(笑)
でも、「以心伝心」ってありますよね。
それは人同士の間だけに存在するものではなくて、人と犬の間にも間違いなく存在するものです。

散歩中に犬に自分の気持ちを伝える方法は、リードを強く引っ張ることでも大声で怒鳴りつけることではなく、リードを通して犬に対して常に気を送り続けることだと思います。
そして、リードを通して犬の気持ちを受け取り続けることも大切だと思っています。

どの飼い主さんとわんちゃんの間でも、それは絶対に可能なことです。


僕が短いリードを使い続けてしまったせいもあって、こいつも相当なタイトリード症候群の症状が出ていましたが…


今では黙っていてもリードを通して僕の気持ちを汲み取ってくれるようになりました。
だから、僕もエマの気持ちをしっかりとリードを通じて受け取り続けています。

それがリードの役割なんだと、僕はそう考えています。
何事も前向きに!(*^-')b




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