2014年8月21日木曜日

更に難しい多頭飼い兄弟犬のトレーニング


前回の記事で、「多頭飼いの環境下で起きている犬の問題行動を抑制するトレーニングは難しい」というお話しをしました。
多頭飼い環境で発現する犬の問題行動はその原因の特定が難しく、その行動を抑制するトレーニングも一頭ずつ行わなければならないケースが多いためです。
そのため、一頭で飼われている犬のトレーニングよりも、手間と時間を要することになります。
僕が経験豊富なドッグトレーナーだったら、もっと効率がよくて早く効果が現われる魔法のようなトレーニング方法を思いつくのかもしれませんが…それでも多頭飼いされているわんちゃんたちのトレーニングはそれなりのパワーと時間をそこに注ぎ込む必要があると思います。

その難しい多頭飼い犬のトレーニングの中でも、僕が最も難しいと感じたトレーニングは『兄弟犬』のトレーニングでした。


その兄弟犬は5歳で、同じ日に同じ母犬から生まれました。
飼い主さんがブリーダーさんのところまで迎えに行って、車に乗せて自宅まで連れて帰ってきたそうです。
その二頭の兄弟犬は、生まれてから現在まで一度も離れることなくずっと一緒にいる状態で、今日まで生活を共にしてきたそうです。
兄弟犬にしてみたら、ここまでの5年間ずっと一緒に暮らしてくることができたのだから幸せだったと思うのですが…しかし…
飼い主さんの立場からしてみたら、その5年間の積み重ねで生まれた習慣によって、いろいろと都合の悪いことが出てきてしまったのです。

まず、兄犬については散歩中の他犬への吠えと向っていく行動、弟犬については兄犬の姿が見えなくなると悲鳴のような声を上げて鳴き叫ぶという行動が、日に日に顕著になってきたとのことでした。
カウンセリングとトレーニングの際に兄弟犬の行動を観察してみたところ、兄犬はその表情やボディランゲージから見て、優位性によって他犬に吠えや向っていく行動が出ているようでした。
それは、弟犬を守ろうとする行動にも見えました。
また、弟犬の鳴き叫ぶ行動は、兄犬と離れる不安感からその行動が出ているようでした。
また、兄犬の吠える行動に誘発されて一緒に吠える行動も見られました。

二頭とも人に対しては友好的なのですが、犬同士での社会化が少し足りなかったということ、また二頭がそれぞれ別々に過ごす練習や習慣付けをしなかったということがあり、それらが問題行動として表れてきていました。
飼い主さんには、(兄犬のタイトリード症候群の原因になっていた)二頭引きリードの使用をやめてもらったり、一頭ずつ散歩に行ってもらって別々に過ごす時間を作ってもらうようにとアドバイスをして、それを実践してもらいました。
飼い主さんが熱心にトレーニングを続けてくださったおかげで、徐々に二頭の問題行動は減りつつあります。
ただ、長年続けてきた習慣を成犬になってから変えるのは大変な作業です。
時間もかかるし、飼い主さんの根気も必要になります。
人間が自分自身の習慣を今から変えないといけない…ということを考えるとと、その大変さが理解できると思います。
先日の犬と一緒に寝るという記事でも書いたとおりですが、やはりパピーのうちに人も犬も困らない習慣付けをしておくことが一番ではないかと思います。

しかし、兄弟犬の絆の強さ、半端ではありませんね。
このケースに当たる確立は低いかもしれませんが、兄弟犬の多頭飼いのトレーニングをする際には、その絆に負けないように気合を入れて取り組まないと!



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